Development story
#01

エレクタ一体型吹付け機「ヘラクレス」
当社の顔ともいえる主力製品のヘラクレスが誕生したのは、2007年に会社を創業して間もなくのこと。以来、マイナーチェンジを繰り返し、進化を続けてきました。ここでは、ヘラクレスの開発にかける私たちの思いをお伝えします。

エレクタ一体型吹付け機「ヘラクレス」とは?
ヘラクレスは、それまでは別々の建設機械であった支保工建込みを行うエレクタと、コンクリートの吹き付け機を一台に搭載した“エレクタ一体型吹付け機”です。機能を一台に集約することでトンネル切羽での車両入れ替えを省き、施工のサイクルタイム短縮につながっているほか、接触事故の撲滅、作業員の省人化などトンネル施工の効率化に大きく貢献しています。
現在、建設業では国土交通省と厚生労働省より発令されたガイドラインにより、切羽作業の安全性(令和6年度改正ガイドラインより)や粉塵作業に対する環境改善を図ること(令和2年改正ガイドラインより)が求められています。この課題を解決するために、大手建設会社との共同開発で登場したのがリアルタイム吹付厚さ表示の”ヘラクレス-Navigator”と、遠隔操作の可能な次世代型の“ヘラクレス-Remote”です。さらに、全自動運転型ヘラクレスの開発にも取り組んでいます。
Story
開発に至るまで
開発に着手したのは、2007年に山岳トンネル用建設機械および非破壊試験機の開発を目的として創業者がエフティーエス株式会社を起こした直後。「エレクタと吹き付け機をトンネルのなかで、いちいち入れ替えをするのは大変」という現場の声を営業担当が聞いたことがきっけでした。設計を託されたのは技術部の徳川。開発期間に猶予はなく、とにかく早急に完成させるという条件付きでした。
徳川が最も苦労したのはバランスです。エレクタ、バスケット、吹き付け機、吹き付けロボット、コンプレッサ、スクレーパとさまざまな機器を搭載するので重量配分を誤ると傾いて走行できなくなるため、計算に計算を重ねて設計だけで半年を要することに。名称は社内公募で募集。そのなかから営業部長のアイデアである、ギリシャ神話の英雄で怪力の持ち主「ヘラクレス」が名称となりました。




第1号機が完成したのは開発がスタートしてから1年後。第一世代のヘラクレスはタイヤ走行でした。その後、キャタピラ走行に変更した第2世代のヘラクレスが登場。さらに、部品を改良して性能は維持したままで小型化することに成功して第5世代のヘラクレスに進化を遂げました。
実証実験を終えて本格稼働の段階に入っている最も新しいヘラクレスは、ゼネコン4社と当社が共同開発で開発した遠隔操作型のヘラクレスです。プロジェクトの中心を担っているのは特機事業部の四塚。この遠隔操作システムを技術部の徳川が設計するにあたって、貴重な情報ソースになっているのが、四塚らの特機事業部が昼勤・夜勤の現場に立ち会った際に現場責任者や作業員たちとの雑談のなかで得た「こんな形だともっと操作がしやすい」「こんなこともできるようにしてほしい」「メンテナンスがもっと簡単になるといい」というリアルな感想です。
そして今、新たに始まっているのが遠隔操作よりもさらに進んだ、ロボットによる自動操作型のヘラクレスの開発です。山岳トンネルの施工で最もリスクが高いのが切羽の岩盤落下。操作を完全自動化すれば作業員は遠隔操作室よりもさらに切羽付近から離れることが可能になります。
「技術の力で現場の作業はもっと楽に安全になる」…それをモチベーションに私たちは、今日もヘラクレスの開発に力を注いでいます。
interview
開発者・徳川と名称考案者・吉野

開発者の声
機能面、安全面で現場に貢献することはもちろん、開発にあたっては見た目のかっこよさにもこだわりました。ヘラクレスは、エレクタと吹き付け機を一台に収めた機械ですが、取って付けたような外観ではなく、スマートな仕上がりになるよう苦心しました。
実際に山岳トンネル施工の現場で見ると、一層かっこよくて惚れ惚れします。ゼネコンさんが現場でPR用の写真撮影をする際にヘラクレスを入れてくださるほどです。『ヘラクレスを担当したいから』と当社に入社する社員が少なくないことも私の誇りです。
どこでこの製品が活かされているのか


ヘラクレスは山岳トンネルの建設現場で使用される機械です
エレクタとコンクリート吹付機を一体化することで、作業工程を効率化し、施工期間を大幅に短縮することが可能です。
また、作業員が危険区域に立ち入る必要が少なくなるため、安全な施工環境も提供いたします。


法面吹付けにもヘラクレスの技術が活かされています
従来は人力でコンクリートを吹付けていましたが、機械で吹付けを行うことでより安全で効率的な施工が可能になりました。